症例31:角膜顆粒状変性に対するPTK&白内障手術と加齢黄斑変性の治療を行った症例

患者様の状態・ご要望

使用レンズ:単焦点レンズ

手術眼:両眼

左視力低下の訴えで受診されました。

初診時の視力は

右遠見0.3(0.5) 左遠見0.1(0.2) ※

【※()の前は裸眼視力、()内は矯正視力です。例)1.0(1.2)=裸眼視力が1.0、眼鏡等を使った最高視力が1.2。】

PTK術前

右眼
右眼
左眼
左眼

両眼の角膜顆粒状変性と白内障、左眼の加齢黄斑変性を認めました。

また左眼は前眼部OCTでNarrow angle indexが78.6%と、狭隅角でした。


 

視力データ

検査時期 遠見視力 近見視力
術前 【PTK術前視力】
遠見視力
R)0.3(0.5×S+2.50D C-0.50D Ax145°)
L)0.1(0.2×S+3.00D C-0.50D Ax95°)
【白内障術前視力】
遠見視力
R)0.4(0.7×S+7.00D)
L)0.5(0.7×S+3.00D C-1.50D Ax85°)
術後 【PTK術後視力】
遠見視力
R)0.04(0.5×S+7.50D C-0.50D Ax70°)
L)0.5(0.7×S+3.00D C-1.50D Ax85°)
【白内障術後視力】
遠見視力
R)0.5(0.8×S-1.00D C-0.50D Ax60°)
L)0.6(1.0×S-0.50D C-0.50D Ax10°)

手術方針と結果

まずは左眼の加齢黄斑変性に対し、抗VEGF抗体アイリーア2mg注射を行いました。

その後、左眼の顆粒状角膜変性に対するレーザー治療的表層角膜切除術:Phototherapeutic Keratectomy(以下PTK)、その翌月には2回目の左眼アイリーア2mg注射というように、平行して治療を行っていきました。

左眼のPTKでは、ご本人様が最終的に中間距離狙いをご希望されていたことを考慮して、ある工夫を行いました。

一般的に白内障手術で中間距離狙いをご希望された場合、軽度近視を狙います。PTKを行うと遠視化するため、その後の白内障手術の際に遠視を打ち消す度数の眼内レンズを入れて補正し、狙った度数に近づけます。

ところが今回のケースでは、事前に計算して規格を調べたところ、PTK後の遠視が強くなるため、その後の白内障手術で中間距離に合わせようとするとレンズ選択の幅が狭まることが判明しました。

そこで、今回のPTKでは-3.0Dと+3.5Dの両方を照射する(目の表面の濁りをとり、同時に遠視治療のレーザーも行う)ことで、その後の白内障手術で中間距離狙いとなるレンズを選択できるようにしました。

 

術前の度数は+3.25D、PTK後も+3.5Dと、ほぼ変わらない結果となりました。

 

右眼の場合は、眼内レンズの規格があったため、近視のリフラクティブ照射を行っています。

その結果、もともとは+3.0Dだった度数が、+7.5Dの遠視となりました。

PTK術後

右眼
右眼
左眼
左眼

 

PTK後、6か月ほど経過をみて、屈折が落ち着いた時期を見計らい白内障手術を行いました。

白内障手術では、中間距離狙いをご希望されており、なんとか-1.0D程度に収まる度数を狙いました。

 

術後の視力は

右遠見0.5(0.8×S-1.00D C-0.50D Ax60°) 左遠見0.6(1.0×S-0.50D C-0.50D Ax10°)

左眼の加齢黄斑変性についても、2回目の注射以降は再発もなく経過良好です。

 

この症例では、PTKを行う前に、ご本人様の見え方の希望(遠方狙いか、中間狙いかなど)をしっかり伺っておくことが重要だと改めて痛感させられました。

PTK後にご希望を伺っても、レンズの製造範囲を超えてしまいお応えできない場合がある、ということを身に染みて感じた症例としてご紹介させていただきます。

 

※こちらの内容は参考情報としてご覧ください。すべての方に同様の効果が期待できるわけではなく、患者様ごとに状況は異なります。また手術にはリスクも伴います。詳細につきましては診察の際に医師とご相談ください。

術前・術後比較

白内障術前

右眼
右眼
左眼
左眼

白内障術後

右眼
右眼
左眼
左眼