症例24:単純糖尿病網膜症の患者にシンフォニーを挿入した症例

患者様の状態・ご要望

使用レンズ:シンフォニー

手術眼:両眼

かすみの主訴で受診されました。両眼に白内障と単純糖尿病網膜症を認めました。
視力は右遠見0.4(0.6) 右近見0.3(0.7) 左遠見0.5(0.7) 左近見0.4(0.5)※
【※()の前は裸眼視力、()内は矯正視力です。例)1.0(1.2)=裸眼視力が1.0、眼鏡等を使った最高視力が1.2。】

 


視力データ

検査時期 遠見視力 近見視力
術前 R)0.4(0.6×S+1.25D C-1.50D Ax80°)
L)0.5(0.7×S+0.50D C-2.00D Ax85°)
R)0.3(0.7×S+3.75D C-1.50D Ax80°)
L)0.4(0.5×S+3.50D C-2.00D Ax85°)
術後 R)1.2(n.c.)
L)1.2(n.c.)
R)0.9(1.0×S+1.00D C-0.75D Ax10°)
L)0.6(1.0×S+1.50D C-0.50D Ax45°)

手術方針と結果

糖尿病網膜症についてはこちらをご覧ください。

白内障手術でのレンズ選択にあたり、ご本人様が多焦点レンズを強くご希望。
白内障以外の疾患(糖尿病網膜症等、視力が下がることがある疾患)もある場合、多焦点レンズについては慎重に検討する必要があります。

この方の場合、単純糖尿病網膜症を認めるものの、HbA1cの値は7%以下を維持しており血糖コントロールが比較的良かったこと、糖尿病黄斑浮腫も認めなかったことを考慮しました。

多焦点レンズの中でも、3焦点レンズよりはコントラスト感度が落ちにくい。焦点拡張型(EDoF)のシンフォニーを選択しました。

シンフォニーは2017年6月に当時のエイエムオー・ジャパン株式会社(現Johnson&Johnson社)から発売されました。焦点拡張型(EDoF)というタイプで、遠方から中間距離にかけて連続的に見やすいレンズです。近くが見える多焦点レンズに比べて、入れた後の違和感が出にくいという特長があります。
また多焦点レンズの中ではコントラスト感度が落ちにくい種類となります。
(※2025年10月現在、販売を終了しています)

手術後の視力は
右遠見1.2(1.2) 右近見0.9(1.0) 左遠見1.2(1.2) 左近見0.6(1.0)
と良好。

ときどき白内障手術後に糖尿病網膜症が悪化することもありますが、この方の場合は、手術から1年以上が経った今も糖尿病網膜症の悪化は認めておりません。
むしろ、手術を契機に血糖コントロールの改善を図ったことで、単純糖尿病網膜症は改善傾向です。

 


 

安定した糖尿病網膜症で血糖コントロールも比較的良好なケースでは、慎重を要するものの、コントラストが低下しにくい焦点拡張型レンズを用いた白内障手術も検討しうるという症例としてご紹介させていただきます。

※こちらの内容は参考情報としてご覧ください。すべての方に同様の効果が期待できるわけではなく、患者様ごとに状況は異なります。また手術にはリスクも伴います。詳細につきましては診察の際に医師とご相談ください。

術前・術後比較

術前スリット

右眼
右眼
左眼
左眼

術後スリット

右眼
右眼
左眼
左眼