症例25:顆粒状角膜ジストロフィーに対しエキシマレーザー術後に白内障手術を行った症例

患者様の状態・ご要望

使用レンズ:単焦点

手術眼:両眼

他院眼科で両眼顆粒状角膜ジストロフィーと診断されており、レーザー治療ご希望で当院初診されました。

初診時視力は
右遠見0.2(0.2) 左遠見0.08(0.15)※
【※()の前は裸眼視力、()内は矯正視力です。例)1.0(1.2)=裸眼視力が1.0、眼鏡等を使った最高視力が1.2。】

両眼に顆粒状角膜ジストロフィーと白内障を認めました。
顆粒状角膜ジストロフィーとは、角膜に濁りができる病気です。写真のように、顆粒状の点々とした濁りが生じます。

この混濁は自然に改善することはないため、濁りをとって見え方を良くしようと思えば手術が必要です。

 

術前

右眼
右眼
左眼
左眼

視力データ

検査時期 遠見視力 近見視力
術前 【PTK後cat術前視力】
R)0.1(0.8×S+5.50D C-0.50D Ax80°)
L)0.5(0.6×S+6.50D C-1.00D Ax65°)
術後 【PTK後cat術後視力】
R)0.5(1.0×S-1.50D C-1.50D Ax90°)
L)1.0(1.0×S-0.50D)

手術方針と結果

今回はご本人様が手術をご希望されたため、まず両眼の顆粒状角膜ジストロフィーに対するレーザー治療的表層角膜切除術:Phototherapeutic Keratectomy(以下PTK)を行い、その後3~6か月ほどあけてから白内障手術予定という方針としました。

 

PTKでは、エキシマレーザーで-4.5Dの角膜近視照射を行いました。
レーザーを行っても辺縁明瞭な深い混濁を完全に除去することはできませんが、磨りガラス状の混濁で瞳孔にかかっていたものはレーザー前よりも減少しています。

術後

右眼
右眼
左眼
左眼

 

徹照像を撮影する検査でも、PTKの前後で濁りがこのように変化しています。

徹照像を撮影する検査【右眼】

PTK前
PTK前
PTK後
PTK後

徹照像を撮影する検査【左眼】

PTK前
PTK前
PTK後
PTK後

上記の画像で黒い斑点として写っている部分が濁りです。
画像の中央にある黄色の輪が、瞳孔の中心(直径3ミリ)を示しています。
PTK後は、瞳孔の中心に占める混濁の割合が減っていることが分かります。

 

PTK後は+7.00Dの遠視となりましたが、その後の白内障手術の際に、遠視を打ち消すようなレンズを挿入することで、白内障手術後は+0.25Dと、ほぼ正視となりました。

術後視力は
右遠見0.5(1.0) 左遠見1.0(1.0)
と良好でした。

この方のように顆粒状角膜ジストロフィーに白内障が重なると、「角膜と白内障のどちらの手術を先にするか」がとても大切になります。

 

白内障の手術を先に行う場合、眼内レンズを正視(遠くが見える状態)に合わせると、その後にPTK(角膜の濁りを削る治療)を受けたときに、角膜が遠視に傾いてしまい、手術前よりも返って見えにくくなることがあります。また、いちど白内障手術で正視にしてしまうと、その後に希望の度数にすることができなくなる場合があります。
また、白内障手術を先に行って正視にした場合は、その後のPTKで角膜を広く削らなければならなくなります。角膜の表面を大きくはがしてレーザーを照射する必要があるため、手術やレーザーの時間は長くなり、その分角膜の表面が回復するまでに日数がかかる、つまり治りがゆっくりになるという点も知っておいていただく必要があります。

 

白内障の手術を先に行う場合でも、眼内レンズを予め少し近視気味に設定しておけば、その後にPTKを行っても遠視にならず、見やすさを保つことが可能です。

先にPTKを行って角膜の濁りを取り除いた上で白内障手術を行うならば、PTKで遠視化した分を白内障手術の際に眼内レンズの度数で調整することができます。この方法では、ご希望に合わせて遠くを重視するか近くを重視するかといった焦点距離を選びやすいという利点があります。

 

以上のように、白内障と顆粒状角膜ジストロフィーが重なっている場合には、手術の順番や眼内レンズの設定が見え方に大きく影響します。患者さん一人ひとりの生活スタイルや希望に合わせて、最適な治療方針を選ぶことが大切です。

 

※こちらの内容は参考情報としてご覧ください。すべての方に同様の効果が期待できるわけではなく、患者様ごとに状況は異なります。また手術にはリスクも伴います。詳細につきましては診察の際に医師とご相談ください。

術前・術後比較

cat術前スリット

右眼
右眼
左眼
左眼

cat術後スリット

右眼
右眼
左眼
左眼