症例30:焦点深度拡張型多焦点レンズ(回折型と非回折型)で Mix & Match を行った症例
患者様の状態・ご要望
使用レンズ:右シンフォニー 左ビビティ
手術眼:両眼
1年前から右が見えづらいとの訴えで受診されました。
両眼白内障を認め、特に右眼は前嚢下混濁が強く、見えにくそうな状態でした。
初診時視力は 右遠見0.6(1.0) 左遠見0.8(1.0)※
【※()の前は裸眼視力、()内は矯正視力です。例)1.0(1.2)=裸眼視力が1.0、眼鏡等を使った最高視力が1.2。】
この時点では白内障手術のご希望はなく、定期的に経過観察していました。
約2年間は視力に変化は見られませんでしたが、免許更新の際に視力低下を指摘され、白内障手術をすることとなりました。
視力データ
| 検査時期 | 遠見視力 | 近見視力 |
|---|---|---|
| 術前 | R)0.2(0.9×S-0.50D C-1.50D Ax15°) L)0.7(0.9×S-1.00D C-0.75D Ax80°) |
R)0.4(0.8×S+2.00D C-1.50D Ax15°) L)0.3(0.9×S+1.50D C-0.75D Ax80°) |
| 術後 | R)1.0(1.2×S-0.50D) L)1.0(1.2×S-0.50D) |
R)0.8(1.0×S+1.00D) L)0.7(1.0×S+1.00D) |
手術方針と結果
スマホ利用も車の運転も裸眼で見たいとのことで多焦点レンズをご希望されました。
もともと上方視野欠損の自覚があり、緑内障も疑われましたが、術前の視野検査では異常はありませんでした。しかし、念のために少しでも光エネルギーロスが少ないレンズをと考え、焦点深度拡張型のレンズをご提案しました。
焦点深度拡張型のレンズにも種類がありますが、この患者さまの場合は左眼には乱視がありませんでしたので、左眼用としてビビティを選択しました。
Vivity(クラレオンビビティ)は、Alcon社が販売する非回折型多焦点レンズです。
日本では2023年に厚生省の認可を得ましたが、アメリカでは2020年から販売・使用されています。X-WAVEテクノロジーという独自技術により、光エネルギーロスが少なく、単焦点レンズと同程度といわれるほどのコントラスト感度の高さで、多焦点レンズの中では比較的くっきりした見え方が期待できます。
また、焦点深度拡張型(Extended Depth of Focus:EDoF)という種類のレンズで、遠方から中間距離の見え方を連続的に改善することができるため、他の多焦点レンズよりも自然な見え方に近い生活が期待できます。近見焦点距離は約50㎝のため、手元を見るにはやや物足りず眼鏡があったほうが良いと感じるかもしれません。
右眼の手術の際は、右眼に乱視があることから、同じく焦点深度拡張型レンズであるシンフォニーの乱視用を選択しました。(この方の手術をした時点ではビビティの乱視用が未発売だったため)
シンフォニーは2017年6月に当時のエイエムオー・ジャパン株式会社(現Johnson&Johnson社)から発売された回折型レンズです。ビビティと同じく焦点深度拡張型(EDoF)というタイプで、遠方から中間距離にかけて連続的に見やすいレンズです。近くが見える多焦点レンズに比べて、入れた後の違和感が出にくいという特長があります。
回折型のため、ビビティと比べると夜間のライトのぎらつき(ハロー、グレア)が生じる可能性がありますが、夜間の運転はあまりされないとのことでしたためお勧めしました。
術後の視力は右遠見1.0(1.2) 右近見0.8(1.0) 左遠見1.0(1.2) 左近見0.7(1.0)
焦点深度拡張型のレンズではありますが近くが見えるとのこと。日常生活はほぼ裸眼で、遠く用の眼鏡も、近く用の老眼鏡も使わずに過ごしているとおっしゃっていました。
術前・術後比較
術前スリット
- 右眼
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- 左眼
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