症例29:ハイブリッドモノビジョン(ピュアシー×アイハンス)による視機能の最適化

患者様の状態・ご要望

使用レンズ:右アイハンス 左ピュアシー

手術眼:両眼

70代になり「視界がかすむ」という訴えで初診に来られた患者様の症例をご紹介します。

診察の結果、両眼の白内障に加え、強い「乱視」が認められました。

患者様のご要望は「遠方の見え方を重視したい」「できるだけ眼鏡をかけたくない」という点。強度乱視がある場合、レンズの選択と度数設定には非常に繊細な判断が求められます。

視力データ

検査時期 遠見視力 近見視力
術前 R)0.2(0.7×S+1.00D C-4.00D Ax85°)
L)0.4(0.6×S+2.50D C-3.00D Ax90°)
R)0.4(0.6×S+3.50D C-4.00D Ax85°)
L)0.3(0.7×S+5.00D C-3.00D Ax90°)
術後 R)1.2(n.c.)
L)0.9(1.0×S-0.50D C-0.50D Ax50°)
R)0.2(0.8×S+2.00D)
L)0.5(0.8×S+2.00D C-0.50D Ax50°)

手術方針と結果

カシア2で測定したところ、HOAs(4mm) 右0.32㎛ 左0.20㎛と、不正乱視は軽度でした。

 


 

ご高齢ということを考慮し、まずは非優位眼(利き目ではないほうの眼)である左眼に焦点拡張型多焦点レンズのピュアシーをお勧めしました。

 

TECNIS PureSeeは、Johnson & Johnson社が開発した非回折・屈折型のEDOF(焦点深度拡張)眼内レンズです。

従来の多焦点レンズは、遠く・中間・近くを見るためにレンズ内に複数のゾーンを持たせる設計が一般的でした。

しかし、ピュアシーはこの「ゾーン」を設けず、レンズ後面の中心部にかけてなだらかに屈折力を変化させる独自の設計を採用しています。

これにより、遠くから中間にかけてスムーズにつながった見え方を実現し、夜間の光のにじみ(グレア・ハロー)も単焦点レンズ並みに抑えられます。

また、術後にわずかに度数がずれた場合でも視力の落ち込みが少なく、患者様の満足度が高いことも報告されています。(残余屈折耐性)

さらに、瞳孔の大きさが変化してもコントラストが安定しており、明るい場所・暗い場所いずれにおいても自然でクリアな見え方が期待されます。

 

手術を終え、視力は

左遠見0.9(1.0) 左近見0.5(0.8)

と、手術前よりも改善。

ご本人様にも見え方をお伺いしたところ、「確かに手術前より見えるようにはなったが、くっきり感が乏しい(遠近どちらも)」とのこと。

 

しばらく経過をみたところ、徐々に見え方は改善していきましたが、もう少し遠くの見え方と鮮明さを優先したいとのこと。

そこで優位眼(利き目)の右眼にはアイハンスを選択しました。

 

テクニスアイハンスは、従来の単焦点眼内レンズと同等の遠方の見えやすさを維持しつつ、やや近く(中間距離)も見やすくなる工夫が施された強化型単焦点レンズです。

 

高次非球面設計によって、レンズ中心部の光学的パワーを緩やかに増加させることで、従来の単焦点眼内レンズよりもやや広い距離でピントが合いやすくなっています。

従来の単焦点眼内レンズと比較して、遠見視力とコントラスト感度を維持しながら良好な中間・近見視力が出ており、眼鏡が不要と感じた方の割合も多かったことが報告されています。

 

保険適用の単焦点眼内レンズという扱いのため、多焦点レンズより費用を抑えられます。

 

手術後の視力は

右遠見1.2 右近見0.3(0.8)

 

手術後3か月の検診では、両眼で見た際の違和感もなく、「よく見えるようになった」と喜んでいただけました。細かい文字を読む際は近用眼鏡を併用されていますが、遠方から中間にかけては眼鏡なしで生活の質が向上しています。

 

強度乱視や「見え方の好み」は一人ひとり異なります。一つの術式に固執せず、片眼の結果を次の手術にフィードバックし、レンズを使い分けることで、より満足度の高い結果が得られることを再確認した症例でした

 

※こちらの内容は参考情報としてご覧ください。すべての方に同様の効果が期待できるわけではなく、患者様ごとに状況は異なります。また手術にはリスクも伴います。詳細につきましては診察の際に医師とご相談ください。

術前・術後比較

術前スリット

右眼
右眼
左眼
左眼

術後スリット

右眼
右眼
左眼
左眼