症例9:シンフォニーとクラレオンパンオプティクスのミックス&マッチ症例
患者様の状態・ご要望
使用レンズ:右眼:シンフォニー / 左眼:クラレオンパンオプティクス
手術眼:両眼
他院で両眼の白内障を指摘され、多焦点レンズご希望のため当院を受診されました。
診察したところ、両眼に黄斑上膜を認めました。
(黄斑上膜についてはこちらをご覧ください)
Mチャート(変視症、歪みについての検査)では右眼MV(Ⅰ)=0° MH(Ⅰ)=0°と、歪視のご自覚はありませんでした。
当院では黄斑上膜等の網膜疾患に対する硝子体手術にも対応していますので、黄斑上膜と白内障の同時手術についてご説明しました。しかし、ご本人様のご希望により、まずは白内障手術のみを行い、将来的に歪視や視力低下等が生じたら黄斑上膜に対する手術を検討するという方針としました。
術前の視力は右遠見0.04(1.0)、右近見0.1(0.9)、左遠見0.07(1.0)、左近見0.2(1.2)でした。※【※()の前は裸眼視力、()内は矯正視力です。例)1.0(1.2)=裸眼視力が1.0、眼鏡等を使った最高視力が1.2。】
視力データ
| 検査時期 | 遠見視力 | 近見視力 |
|---|---|---|
| 術前 | R)0.04(1.0×S-8.00D C-1.00D Ax100°) L)0.07(1.0×S-5.50D C-1.00D Ax75°) |
R)0.1(0.9×S-5.00D C-1.00D Ax100°) L)0.2(1.2×S-2.50D C-1.00D Ax75°) |
| 術後 | R)1.2(n.c.) L)1.2(n.c.) |
R)0.5(1.2×S+0.50D) L)0.8(1.2×S+0.50D) |
手術方針と結果
多焦点レンズをご希望。右眼は黄斑上膜に加え中心窩陥凹の消失があったため、選定療養対象のビビティを検討しました。しかしビビティの規格がなかったため、同じく選定療養対象のシンフォニーを選択しました。※ビビティの規格は+6.00D~+25.00D、乱視用は販売されていませんでした。2025年に乱視用が発売されています。
シンフォニーは2017年6月に当時のエイエムオー・ジャパン株式会社(現Johnson&Johnson社)から発売されました。焦点拡張型(EDoF)というタイプで、遠方から中間距離にかけて連続的に見やすいレンズです。近くが見える多焦点レンズに比べて、入れた後の違和感が出にくいという特長があります。(2025年8月現在、シンフォニーは販売終了しています)
また多焦点レンズの中ではコントラスト感度が落ちにくい種類となります。黄斑上膜等の網膜疾患があると、その影響で将来的にコントラスト感度が落ちる可能性があるため、この患者様にはコントラスト感度が落ちにくいシンフォニーを選択しました。(その後、新しい眼内レンズが登場しており、2025年8月現在であれば、クラレオンビビティまたはピュアシーのいずれかを選択すると考えます)
左眼には、選定療養対象のクラレオンパンオプティクスを選択しました。クラレオンパンオプティクスは、遠くはもちろん、近方から中間(40~80cm)に連続してピントが合う3焦点眼内レンズです。瞳孔径3.0mmでも光エネルギー利用率は88%と高く、近くが見える多焦点レンズの中ではコントラスト感度が落ちにくく、鮮明な見え方が期待できるといわれています。
手術後の視力は右遠見1.2(1.2)、右近見0.5(1.2)、左遠見1.2(1.2)、左近見0.8(1.2)。右眼には黄斑上膜があるため、術後に視力がどれだけ出るか不安でしたが、結果的に手術後は視力が改善しました。手術後のMチャート(変視症、歪みについての検査)でも右眼MV(Ⅰ)=0° MH(Ⅰ)=0°と歪視はありませんでした。
手術後、ご本人様にお話を伺うと、クラレオンパンオプティクスを入れた左眼のほうが近くが見えるとのことでした。遠くと中間距離の見え方については、両眼で見ているときは左右差は感じないものの、片眼ずつ見比べると左眼のほうが見やすいかなとのこと。視力検査の数値的には、右遠見1.2(1.2) 左遠見1.2(1.2)と同じ値ですが、右眼は黄斑上膜があるため、やや見えにくく感じているのかなと推察されます。夜間のライトのぎらつき等は気にならないとおっしゃっていました。