症例7:片眼緑内障のため単焦点とクラレオンパンオプティクスのミックス&マッチとした症例

患者様の状態・ご要望

使用レンズ:右眼:クラレオンパンオプティクス / 左眼:単焦点レンズ

手術眼:両眼

もともと左眼の緑内障と両眼の白内障で定期的に通院されていた60代の患者様です。CASIA2のSTAR解析で右眼のNarrow angle Indexが約80%と、緑内障発作の危険性も認める状態でした。(※比較画像1)

そのため、緑内障発作の予防という意味でも、白内障手術をお勧めしていました。
(原発閉塞隅角症についてはこちらの記事をご覧ください)

白内障手術の予定を立てる際、左眼は緑内障もあるため、白内障手術と同時に左眼の眼圧を下げるための緑内障手術も行う予定としました。

手術前の視力は 右遠見0.07(1.2) 右近見0.4(1.2) 左遠見0.04(1.0) 左近見0.1(1.2)※【※()の前は裸眼視力、() 内は矯正視力です。 例) 1.0( 1.2)= 裸眼視力が1 .0、 眼鏡等を使った最高視力が1 .2。】

視力データ

検査時期 遠見視力 近見視力
術前 R)0.07(1.2×S-4.50D)
L)0.04(1.0×S-5.00D C-2.25D Ax180°)
R)0.4(1.2×S-2.00D)
L)0.1(1.2×S-2.50D C-2.25D Ax180°)
術後 R)1.0(1.2×S-0.50D)
L)1.0(1.2×S-0.50D)
R)1.2(n.c.)
L)0.5(1.2×S+1.50D)

手術方針と結果

眼内レンズを選ぶ際、ご本人様は「遠くも近くも見えたほうが良い」とのことで多焦点レンズをご希望されました。しかし、左眼は緑内障があるため単焦点レンズのほうが望ましいことをご説明しました。緑内障が進行すると感度が落ちて見えづらくなります。そして多焦点レンズは単焦点レンズよりもコントラスト感度が落ちるため、緑内障の方に多焦点レンズを入れると、より感度が下がって不利になる恐れがあります。

この方の場合は、右眼には緑内障がないため、右眼には選定療養の多焦点レンズであるクラレオンパンオプティクス、左眼は単焦点レンズを挿入することとしました。

クラレオンパンオプティクスは、遠くはもちろん、近方から中間(40~80cm)に連続してピントが合う3焦点眼内レンズです。瞳孔径3.0mmでも光エネルギー利用率は88%と高く、どの距離を見る際にもコントラスト感度が良好で鮮明な見え方が期待できるといわれています。

ご本人が遠方はそこまで見えなくて良いとのことで、左眼の単焦点レンズについては、一般的な狙いよりも1~2段階ほど近方よりの度数のレンズを挿入することとしました。ただし、もともと近視の方で、このように度数を近方よりにしても手術前と比べると近くの見え方が足りないと感じるだろうという点もご説明し、ご了承をいただきました。

術後の視力は右遠見1.0(1.2)、右近見1.2(1.2)、左遠見1.0(1.2)、左近見0.5(1.2)でした。

左眼はやや遠くを弱くし、少し近くよりの狙いにしましたが、結果的に左眼の単焦点レンズのほうが遠くが見え、近くは右眼のほうが見えるとおっしゃっていました。片眼ずつで見比べると、右眼は光がぼやける(グレア現象)、左眼では近くは見えないとのこと。手術後に行った視野検査では、白内障手術を行ったことにより、視野全体の感度は上がっておりました。

術前・術後比較