症例22:黄斑上膜がありクラレオンビビティ挿入後の視力良好な症例
患者様の状態・ご要望
使用レンズ:右眼:クラレオンビビティ
手術眼:右眼
健康診断で右眼の黄斑上膜を指摘され、精査目的で初診された患者様です。【※この時点では50代です】
右眼の黄斑上膜を認めるものの、初診時視力は
右遠見1.2(1.2) 左遠見1.2(1.2)※
【※()の前は裸眼視力、()内は矯正視力です。例)1.0(1.2)=裸眼視力が1.0、眼鏡等を使った最高視力が1.2。】
と良好のため、定期的に経過をみていくこととしました。
その後5年間の経過観察中、黄斑上膜の状態は横ばい。
しかし視力は徐々に低下し、
右遠見0.3(0.8) 右近見0.4(0.7)
となりました。ご自覚的にも「眼鏡をかけてもパソコンが見えにくい」「眩しい、モヤがかかった感じが気になる」との症状があったため、手術についてご説明しました。
視力データ
| 検査時期 | 遠見視力 | 近見視力 |
|---|---|---|
| 術前 | R)0.3(0.8×S+2.00D C-1.75D Ax180°) L)0.8(0.9×S+1.50D) |
R)0.4(0.7×S+4.50D C-1.75D Ax180°) L)0.3(1.0×S+4.00D) |
| 術後 | R)1.0(1.2×+0.50D) | R)0.6(1.2×S+2.25D C-1.00D Ax5°) |
手術方針と結果
黄斑上膜があることから、白内障手術と黄斑上膜に対する硝子体手術の同時手術をお勧めしましたが、ご本人様が白内障手術のみをご希望されました。
また、多焦点レンズご希望とのこと。
黄斑上膜があるため、多焦点レンズの適応については慎重に考慮しました。
OCTで黄斑上膜が軽度であることを確認の上、
Mチャートで
R)MV(I)=0°MH(I)=0°
L)MV(I)=0°MH(I)=0°
と歪視もなく、多焦点レンズの中でもコントラスト感度が落ちにくいクラレオンビビティならば可能であろうと判断しました。
ビビティは、焦点深度拡張型の多焦点レンズです。
日本では2023年に厚生省の認可を得ましたが、アメリカでは2020年から販売・使用されています。
X-WAVEテクノロジーという独自技術を用いた波面制御型のレンズで、光学的ロスがほとんどなく、遠方から中間距離の見え方を連続的に改善することができるため、他の多焦点レンズよりも自然な見え方に近い生活が期待できます。
他の多焦点レンズと比較してコントラスト感度も落ちにくく、くっきりとした見え方が期待できます。
デメリットとしては、近くの細かなもの(新聞や本、スマートフォンなど)を見るときには眼鏡が必要な可能性があることが挙げられます。
術後視力は
右遠見1.0(1.2) 右近見0.6(1.2)
術後はかすみがとれて、よく見えるようになったと仰っていました。
手元は少し見えにくいものの、術前とあまり変わらないため、概ね問題ないとのこと。
現時点では、黄斑上膜による歪みや、物が大きく見える症状もなく、経過をみているところです。
黄斑上膜の症例としては、前出の 症例13「黄斑上膜術後にアクリバトリノバを挿入し術後視力良好な症例」 もございますが、今回は先に白内障手術を行った症例としてご報告させていただきます。
※こちらの内容は参考情報としてご覧ください。すべての方に同様の効果が期待できるわけではなく、患者様ごとに状況は異なります。また手術にはリスクも伴います。詳細につきましては診察の際に医師とご相談ください。