症例2:若年・術前視力良好例にレンティスコンフォートをマイクロモノビジョンで挿入した症例

患者様の状態・ご要望

使用レンズ:両眼レンティスコンフォート(マイクロモノビジョン法併用)

手術眼:両眼

50代、糖尿病網膜症の検査目的で受診された方です。診察時に原発閉塞隅角症を認めました。
原発閉塞隅角症についてはこちらの記事をご覧ください

糖尿病網膜症は、進行するにしたがって散瞳して眼底検査を行う頻度が増えます。一方で、原発閉塞隅角症では、年齢が上がるとともに、散瞳すると緑内障発作を起こすリスクが高まります。

しかし、白内障手術をすれば、隅角が拡がり、緑内障発作の発生をかなり低減することができます。

その観点からも、こちらの患者様は、そろそろ白内障手術をせざるをえない状況でした。初診時視力 右遠見 1.0( 1.2) 右近見 1.0( 1.2) 左遠見0.9(1.2)左近見 1.0( 1.2)※【※() の前は裸眼視力、() 内は矯正視力です。 例) 1.0( 1.2)= 裸眼視力が 1.0、 眼鏡等を使った最高視力が 1.2。】

室内で過ごすことが多く、料理や裁縫をされるとのこと。なるべく眼鏡をかけずに過ごされたいとのご希望でした。

視力データ

検査時期 遠見視力 近見視力
術前 R)1.0(1.2×S-0.50D)
L)0.9(1.2×S-0.50D C-0.50D Ax75°)
R)1.0(1.2×S+1.50D)
L)1.0(1.2×S+0.50D C-0.50D Ax75°)
術後 R)1.2(better×S-0.75D)
L)1.2(better×S-0.75D)
R)1.0(1.2×S+0.50D)
L)1.2×(n.c.)

手術方針と結果

もともと裸眼で遠くも近くも見えていたため、レンズ選定に悩みました。

一案として、単焦点レンズで中間距離狙いにすることも考えました。しかし当時53歳というご年齢で調節力が少し残っていることを考えると、この選択だと術前より見えにくくなったと感じる恐れがあります。

別の案として、単焦点レンズでマイクロモノビジョン(あえてわずかに左右差をつけて、裸眼で見える範囲を広げる手法)にすることも考えましたが、それでも術前より不便な見え方になったと感じることが危惧されました。

上記の二案のいずれにしても、ご満足いただけないだろうと予想されたため、通常の単焦点レンズではなく、レンティスコンフォートを提案しました。

レンティスコンフォートは、保険診療の範囲内で使える焦点拡張型レンズです。単焦点レンズだと、理論上、どこか1点にしかピントが合いませんが、焦点拡張型レンズであるレンティスコンフォートは遠方から中間距離(約60~70cm)にかけてピントが合うように設計されています。

デメリットとしては、光がハの字に広がって見えたり、稀に物がうっすら重なって見える現象(ゴースト現象)などが生じるなどがあります。

この患者様は、レンティスコンフォートで、さらにマイクロモノビジョン法(あえてわずかに度数の左右差をつけて、裸眼で見える範囲を広げる手法)も使用することで、裸眼で見える範囲をできるだけ広げられるように試みました。

手術当日は、かなり緊張が強いご様子でしたが、低濃度笑気麻酔や鎮静剤を使用し、手術は無事終了しました。

術後視力は右遠見1.2(1.2)右近見1.0(1.2)左遠見1.2(1.2)左近見1.2(1.2)

ご本人様より、術前より近くも遠くも見え方が良くなった、老眼鏡をかけずに手元が見えるとおっしゃっていただきました。

術前・術後比較