症例18:クラレオンパンオプティクス挿入後に網膜剥離に対し硝子体手術を行った症例

患者様の状態・ご要望

使用レンズ:両眼:クラレオンパンオプティクス

手術眼:両眼

元々強度近視の方です。白内障手術をご希望され他院より紹介初診されました。

初診時視力は
右遠見0.03(0.7) 右近見0.06(0.7) 左遠見0.02(0.5) 左近見0.06(0.3)※【※()の前は裸眼視力、()内は矯正視力です。例)1.0(1.2)=裸眼視力が1.0、眼鏡等を使った最高視力が1.2。】

前房が浅かったため、緑内障発作を懸念し、手術前検査は散瞳を避けて行いました。

前眼部OCT

右眼
右眼
左眼
左眼

ご本人様が選定療養の多焦点レンズをご希望。
書類仕事をされるとのこと、またできるだけ近くも遠くも見たいとのことから、クラレオンパンオプティクスを選択しました。

視力データ

検査時期 遠見視力 近見視力
術前 R)0.03(0.7×S-15.00D C-1.50D Ax170°)
L)0.02(0.5×S-20.50D C-1.75D Ax40°)
R)0.06(0.7×S-12.00D C-1.50D Ax170°)
L)0.06(0.3×S-18.00D C-1.75D Ax40°)
術後 R)1.2(n.c.)
L)1.2(n.c.)
R)1.2(n.c.)
L)1.2(n.c.)

手術方針と結果

クラレオンパンオプティクスは、遠くはもちろん、近方から中間(40〜80cm)に連続してピントが合う回折型の3焦点眼内レンズです。瞳孔径3.0mmでも光エネルギー利用率は88%と高く、近くが見える多焦点レンズの中ではコントラスト感度が落ちにくく、鮮明な見え方が期待できるといわれています。

術後の裸眼視力は
右遠見1.2(1.2) 右近見1.2(1.2) 左遠見1.2(1.2) 左近見1.2(1.2)

両眼とも良好な視力で、ご本人様もよく見えると仰っていました。

多焦点手術後の検診期間中、網膜剥離を発症。
白内障手術から2か月がたったころ、突然、右眼に視野異常が生じたとの訴えで再来。裂孔原性網膜剥離でした。

裂孔原性網膜剥離についてはこちらをご覧ください

網膜剥離がさらに広がって黄斑部(物を鮮明に見るために重要な場所)に及ぶ前に手術が必要な状態であり、当日中に当院で緊急の硝子体手術を行いました。

回折型多焦点眼内レンズであるクラレオンパンオプティクスが挿入された眼に対する硝子体手術は、単焦点眼内レンズと比較してわずかに術中のピント合わせに苦労することがありますが、今回は特に合併症もなく、硝子体手術は安全に終了しました。

硝子体手術後 厚みマップ
硝子体手術後 厚みマップ
硝子体手術後 OCT
硝子体手術後 OCT

硝子体手術後の視力も
左遠見1.2(1.2)

と、硝子体手術前と変わらない良好な値を維持。

剥離した網膜が中心の黄斑部まで及ぶと、視力低下や歪視などの後遺症が残る可能性がありますが、本症例では自覚症状が出てすぐに受診いただき、また網膜剥離が黄斑に達する前に手術を行えたことが、術後の良好な視力維持につながったと考察しました。
さらに、ご本人も「手術前と比べて見え方の変化はほとんど感じない」とお話しされており、術後経過も良好であることを確認いたしました。

多焦点レンズ挿入後の硝子体手術の症例としてご報告させていただきます。

※こちらの内容は参考情報としてご覧ください。すべての方に同様の効果が期待できるわけではなく、患者様ごとに状況は異なります。また手術にはリスクも伴います。詳細につきましては診察の際に医師とご相談ください。

術前・術後比較

術前スリット

右眼
右眼
左眼
左眼

術後スリット

右眼
右眼
左眼
左眼