症例17:外傷性が疑われる白内障に対し手術時にCTRを挿入した症例

患者様の状態・ご要望

使用レンズ:右眼:クラレオンパンオプティクス

手術眼:右眼のみ

右眼が見えにくいとの主訴で、近医眼科から紹介されました。

初診時視力は
右遠見0.08(0.3) 右近見0.2(0.2) 左遠見0.5(1.0) 左近見0.5(0.8)※【※()の前は裸眼視力、()内は矯正視力です。例)1.0(1.2)=裸眼視力が1.0、眼鏡等を使った最高視力が1.2。】

片眼性の白内障で、右眼を強打したとも伺っておりましたため、外傷性白内障を疑いました。

視力が低下していたため白内障手術についてご説明したところ、ご本人様がクラレオンパンオプティクスをご希望されました。

クラレオンパンオプティクスは、遠くはもちろん、近方から中間(40〜80cm)に連続してピントが合う3焦点眼内レンズです。瞳孔径3.0mmでも光エネルギー利用率は88%と高く、近くが見える多焦点レンズの中ではコントラスト感度が落ちにくく、鮮明な見え方が期待できるといわれています。

視力データ

検査時期 遠見視力 近見視力
術前 R)0.08(0.3×S-2.50D)
L)0.5(1.0×S-1.00D C-0.75D Ax140°)
R)0.2(n.c.)
L)0.5(0.8×S+0.50D C-0.75D Ax140°)
術後 R)1.2(n.c.) R)1.0(n.c.)

手術方針と結果

また今回のケースでは、外傷性が疑われるため、チン氏帯が脆弱になっている可能性があります。

チン氏帯とは
水晶体はうすい透明なふくろ(水晶体嚢)に包まれている組織です。

白内障手術では、ふくろ(水晶体嚢)の前面を円盤状に切り抜いて、中身(水晶体)を吸い出し取り除きます。 ふくろは残した状態で、人工の眼内レンズをそのふくろ(水晶体嚢)の中に入れます。(※1)

このふくろを支えるのがチン氏帯です。

白内障手術の説明イラスト

チン氏帯が弱っていると、ふくろに人工レンズを入れられなかったり、入れたとしてもレンズがグラグラ動いたり、ズレたり、落ちたりすることがあります。

 

そこで、この患者様の手術ではCTRを挿入することとしました。

CTR(capsular tension ring、水晶体嚢拡張リング)は、白内障手術の際に使われることがある医療器具です。

CTRを挿入して白内障手術を行うことで、チン氏帯が弱っていても安全に手術を行うことが期待できます。

またCTRにより水晶体嚢が安定化し、眼内レンズが中心で固定されるため、視力の低下を起こしにくくなります。

術後視力は
右遠見1.2(1.2) 右近見1.0(1.0)

と良好。眼内レンズの位置も良好です。

CTRを入れることでレンズ偏位を減らせるため、CTR挿入したほうが良い症例もあることをご報告させていただきます。

術前・術後比較

術前スリット

術前左眼スリット
術前左眼スリット
術後左眼スリット
術後左眼スリット
※右眼の術前スリット写真不足のため左眼の術前スリットで代替。