症例16:クラレオンパンオプティクスとZMBのミックス&マッチ症例

患者様の状態・ご要望

使用レンズ:クラレオンパンオプティクス・テクニスマルチフォーカルZMB

手術眼:両眼

他院で白内障と診断された方です。遠くが見えずに困るとのことで、白内障手術をご希望され当院を受診されました。
初診時視力 右遠見0.01(0.5)  左0.02(0.5)
※()の前は裸眼視力、()内は矯正視力です。例)1.0(1.2)=裸眼視力が1.0、眼鏡等を使った最高視力が1.2。

当院初診時は右眼-14.00D、左眼-9.00D(※要確認)の強度近視でした。ご持参いただいた眼鏡の度数を確認したところ、白内障によって近視が進行しているようでした。
眼内レンズについてご説明したところ、多焦点レンズにするか単焦点レンズにするかで迷うとのこと。
多焦点レンズも万能ではなく、鮮明さは単焦点のほうが勝る、ハローやグレア現象が生じる場合があることをご説明の上、多焦点レンズをご希望されました。

視力データ

検査時期 遠見視力 近見視力
術前 R)0.02(0.5×S-13.50D)
L)0.02(0.6×S-10.50D)
R)0.03(0.5×S-10.00D)
L)0.03(0.7×S-8.00D)
術後 R)1.2(1.2×S-0.50D)
L)1.2(n.c.)

R)0.7(1.0×S+0.75D)
L)0.9(n.c.)

手術方針と結果

右のほうが白内障が進行していたため、まずは右眼の手術を行いました。レンズは全距離型のクラレオンパンオプティクスを選択。クラレオンパンオプティクスは選定療養対象の3焦点型多焦点レンズで、遠方・中間・近方が見やすいレンズです。近方の焦点距離は約40cmとなります。

右眼の術後視力は 遠見1.0(1.0) 近見0.8(0.9)

右眼の手術後にお話しを伺うと、明るくなった、遠くはよく見えるとおっしゃっていた反面、近くが見えづらいとのこと。近くが見えづらい以外の不満はないとおっしゃっていました。
前述のようにクラレオンパンオプティクスの近見焦点距離は約40cmのため、もともと近視の方や、小柄な女性の場合は、やや物足りないと感じることがあります。

老眼鏡をかけたり、部屋を明るくして対応することもできますが、裸眼で近くがもっと見えたほうが良いとのご希望でしたため、それを踏まえて左眼のレンズを検討しました。
「左眼に単焦点レンズを入れるのは?」とご質問がありましたが、単焦点レンズで近方狙いにすると、近くは見えるものの遠くが見えないため、両眼で見たときに違和感が生じます。近くを重視したいとのご希望でしたため、必然的に左のレンズも多焦点レンズから選択することとなります。

本来ならば、両眼にクラレオンパンオプティクスを入れたほうが相乗効果で見やすくなります。しかし、今回はご本人様の強い希望で2焦点レンズのテクニスマルチフォーカルZMBを選択しました。

テクニスマルチフォーカルZMBは選定療養対象のレンズです。焦点距離は約33cm。2焦点レンズのため、遠くと近くにピントが合いますが、中間距離の見え方には落ち込みがあります。多焦点レンズの中では近くが見えるレンズですが、人によってはコントラスト感度が低下して鮮明さが落ちたり、waxy vision(薄い膜がかかったような見え方、全体的にぼやっとして、くっきり見えない現象)が生じることがあります。
(※2025年10月現在、テクニスマルチフォーカルZMBは販売を終了しています)

両眼とも白内障手術を終えて、視力は
右遠見1.2(1.2) 近見0.8(0.9)
左遠見1.2(1.2) 近見0.9(0.9)

左眼はテクニスマルチフォーカルZMBを入れており、近見視力は左眼のほうが出ていますが、ご本人様としては左右差は感じないとおっしゃっていました。中間距離はクラレオンパンオプティクスを入れた右眼のほうが見やすいとのことでした。
心配していたwaxy visionは見られませんでした。

術前・術後比較