症例13:黄斑上膜術後にアクリバトリノバを挿入し術後視力良好な症例
患者様の状態・ご要望
使用レンズ:左眼:アクリバトリノバ
手術眼:左眼のみ
左眼で線が膨らんで見えるとの訴えで初診された方です。OCT等での検査を行い、左眼に黄斑上膜を認め、硝子体手術を行いました。
硝子体手術後の検診では矯正視力1.2、コントラスト感度の低下もみられず、良好な経過をたどっていました。
硝子体手術の1年後に、だんだん左眼が見えにくくなったとの訴えで再来。
右遠見視力1.2、左遠見視力0.15(0.3)※【※()の前は裸眼視力、()内は矯正視力です。例)1.0(1.2)=裸眼視力が1.0、眼鏡等を使った最高視力が1.2。】
左眼の白内障の進行を認め、手術をすることとなりました。
多焦点レンズをご希望。
一般的に、白内障以外の病気がある方に多焦点レンズを挿入する場合は慎重に検討します。高額な多焦点レンズを挿入しても、病気のために効果を十分に感じられなかったり、コントラスト感度低下といった多焦点レンズのデメリットを感じやすい恐れがあるためです。
この方の場合は、硝子体手術後もコントラスト感度が落ちていなかったこと、白内障手術前の視野検査でも暗点を認めなかったこと、OCTで黄斑の正常構造も保たれており、不正乱視を表すHOAの値も問題なかったことなどを考慮し、多焦点レンズの適応があると判断しました。
視力データ
| 検査時期 | 遠見視力 | 近見視力 |
|---|---|---|
| 術前 | R)1.2(n.c.) L)0.15(0.3×S-1.75 C-1.75 Ax95°) |
R)0.5(1.2×S+2.50D) L)0.3(0.3×S+0.50D C-1.75D Ax95°) |
| 術後 | L)1.2(better×S+0.50D) | L)0.7(1.2×S+1.00D) |
手術方針と結果
どの多焦点レンズが良いかを選択するために、詳しくお話を伺いました。
お仕事で40cm前後の距離をよく見るが、もともと左が-1.75Dの軽度近視のため裸眼で見えている、老眼鏡はタブレットなどを見るときだけ使用されているとのこと。
ときどき運転されますが、運転時にできるだけ眼鏡をかけないほうが良いとのこと。
ハロー、グレアはやや心配がある。
普段の生活では、家事をしたりテレビを見ることが多いとのお話でした。
総合的に考えて、自由診療のトリノバを選択しました。
トリノバは3焦点レンズです。遠方と、80cmと、40cmの3カ所でピントが合う設計となっています。3焦点レンズですが、焦点拡張型の機能も備えており、他の3焦点レンズと比較して遠方から中間、中間から近方もスムーズに見えるレンズです。
従来の多焦点眼内レンズと比べて、回折構造がマイルドに設計されており、ハローやグレアといった光の散乱やにじみが生じにくくなるよう配慮されています。また、コントラスト感度にも優れているとされており、暗所での見え方の低下が比較的少ない可能性があります。
手術は問題なく終了しましたが、もともと黄斑上膜の既往もあったため、視力が出るのに時間がかかりました。それでも手術の4週間後の検診時には遠見視力1.2、近見視力0.7(1.2)と良好。視野検査でも悪化は見られませんでした。
ご本人様も「術前よりも見やすくなった」とおっしゃっていました。