症例10:クラレオンビビティとシンフォニーのミックス&マッチ症例(クラレオンビビティトーリック登場前)

患者様の状態・ご要望

使用レンズ:右眼:シンフォニー / 左眼:ビビティ

手術眼:両眼

もともとドライアイの既往がある60代後半の方です。狭隅角で、緑内障発作の予防目的で白内障手術をご希望されました。
緑内障発作についてはこちらの記事をご覧ください

術前の視力は右遠見1.0(1.2) 右近見0.7(1.0) 左遠見(0.8(1.2) 左近見0.6(1.0)※【※()の前は裸眼視力、()内は矯正視力です。例)1.0(1.2)=裸眼視力が1.0、眼鏡等を使った最高視力が1.2。】

多焦点レンズをご希望。近くは眼鏡をかけても良いので、できるだけ遠くの見え方を重視されたいとのこと、自由診療のレンズは費用が気になるとのことで選定療養の多焦点レンズをご希望。乱視もあまりないため、遠方から中間距離にかけての見え方が得意なClareon Vivityを選択しました。

視力データ

検査時期 遠見視力 近見視力
術前 R)1.0(1.2×S-0.50D C-0.50D Ax125°)
L)0.8(1.2×S-0.50D C-0.75D Ax70°)
R)0.7(1.0×S+1.50D C-0.50D Ax125°)
L)0.6(1.0×S+1.50D C-0.75D Ax70°)
術後 R)1.0(1.2×S-0.50D)
L)1.2(n.c.)
R)0.6(1.0×S+1.00D)
L)0.9(1.0×S+1.00D)

手術方針と結果

Vivity(クラレオンビビティ)は、Alcon社が販売する多焦点レンズです。日本では2023年に厚生省の認可を得ましたが、アメリカでは2020年から販売・使用されています。X-WAVEテクノロジーという独自技術により、光エネルギーロスが少なく、単焦点レンズと同程度といわれるほどのコントラスト感度の高さで、多焦点レンズの中では比較的くっきりした見え方が期待できます。

また、焦点深度拡張型(Extended Depth of Focus:EDoF)という種類のレンズで、遠方から中間距離の見え方を連続的に改善することができるため、他の多焦点レンズよりも自然な見え方に近い生活が期待できます。近見焦点距離は約50㎝のため、手元を見るにはやや物足りず眼鏡があったほうが良いと感じるかもしれません。2024年5月時点では乱視用が発売されていないため、乱視が少ない方に限りお勧めしていました。

手術は、まず左眼から行いました。左眼の術後視力は遠見1.2、近見(0.9)。左眼手術後、遠くはよく見えるようになった、近くも少しぼやけるものの裸眼で見えるとおっしゃっていました。ビビティの焦点距離は約50㎝のため一般的には近くは見えにくいのですが、この患者様はもともとの近視を考慮し、少し近視の度数を入れたレンズを選択していたのが功を奏したかと考えます。

左眼の見え方にご満足とのことで、右眼も同じレンズをご希望されました。しかし右眼は乱視があったので、ビビティではなく同じく選定療養対応の多焦点レンズ、シンフォニーを選択しました。

シンフォニーは2017年6月に当時のエイエムオー・ジャパン株式会社(現 Johnson&Johnson社)から発売されました。ビビティと同じく焦点拡張型(EDoF)というタイプで、遠方から中間距離にかけて連続的に見やすいレンズです。近くが見える多焦点レンズに比べて、入れた後の違和感が出にくいという特長があります。

ビビティと比べると夜間のライトのぎらつき(ハロー、グレア)が生じる可能性についてご説明しましたが、この患者様は夜間の運転はあまりされないとのことで、ご了承いただきました。

右眼術後の視力は遠見1.0(1.2) 近見0.6(1.0)。近くがもう少し見えたほうが良いとのご要望はあるものの、概ね問題ないとのことでした。両眼手術後4か月目の再来時には、より近くが見えるようになった、左眼に入れたシンフォニーのハローやグレアも気にならないとのコメントをいただきました。

術前・術後比較