加齢黄斑変性
加齢黄斑変性とは
加齢などの原因により網膜の中心部分の「黄斑」に異常が生じる病気です。欧米では成人失明原因の第1位で、日本でも患者数が推定70万人と増加しています。
病気のタイプとして、滲出型(ウェット型)、萎縮型(ドライ型)があり、主に治療の対象となるのは滲出型です。滲出型加齢黄斑変性の場合、光干渉断層計(OCT)で網膜剥離(網膜がうき上がる)、網膜のむくみ、新生血管(異常な血管)などが見つかります。
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滲出型加齢黄斑変性
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光干渉断層計(OCT):網膜の断面図。
網膜の下に新生血管ができています。 -
萎縮型加齢黄斑変性
加齢黄斑変性の症状
- 部分的、または中心が暗く見える
- 視界がゆがむ
- コントラストが低下する
- 視力が急激に低下することがある
- 加齢黄斑変性の場合の見え方
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- 線がぼやけて薄暗く見える
- 中心がゆがんで見える
- 部分的に欠けて見える
- 加齢黄斑変性の自己診断チェック(アムスラーチャートチェック)
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- 30cm離れて見る
- 片目ずつチェックする
- 老眼鏡をかけたままチェックする
加齢黄斑変性の治療
抗VEGF抗体療法(薬物注射療法)
眼の中に抗VEGF抗体(ルセンティス、アイリーア、ベオビュ)という薬物を注射し、新生血管の成長を抑えます。VEGF(血管内皮増殖因子)とは、脈絡膜の血管内皮細胞を活性化させ、新生血管の成長を活性化させる物質です。
日本人の滲出型加齢黄斑変性症におけるルセンティスの視力改善効果
治療のスケジュール
硝子体注射の手順
- 原則として、硝子体注射を受ける前3日間と受けた後3日間は、注射部位の感染を予防するため、抗菌点眼剤(抗生物質の目薬)を患者さん自身で点眼していただきます。
- 治療日には、眼や目の周りを消毒し、麻酔薬を点眼した後で注射します。
硝子体注射後の注意
注射後1週間程度は、感染のおそれがあるため以下の症状に注意し、あらわれた場合 は連絡をしてください。
- 眼の痛みや不快感が継続する
- 眼充血の悪化
- 目やにが多くなる
- 光に対する過敏症
- 飛蚊症(眼の前を小さな浮遊物が飛んでいるように見える)がひどくなる
- 視力の低下を感じる
硝子体注射の副作用
- 主な症状:眼圧の上昇、視力低下、眼痛、網膜出血など。
- 外国人の患者さんで、脳卒中の報告があります。
- 重大な副作用として、注射後の眼の炎症(眼内炎)があります。
費用
- 1割:1回19,000円程度
- 2割:1回38,000円程度
- 3割:1回57,000円程度
光線力学療法(PDT)
「ビスダイン」という光に反応する薬剤を静脈に注射した後、弱いレーザーを照射することでビスダインを活性化し、新生血管を退縮させます。正常な網膜に傷をつけることなく視力の低下が抑えられる治療法です。治療後はしばらく日光に当たれなくなります。この治療は望月眼科では行っておりませんので、九州大学病院を紹介させて頂きます。
レーザー光凝固治療
新生血管が中心窩にない場合、レーザー光で新生血管を焼き固める治療法です。レーザー照射した場所の視力が欠けるなど、周囲の正常組織にダメージを与える問題があります。
硝子体手術
網膜の下の出血が硝子体へ波及し、視力や視野が著しく障害された場合は硝子体手術を行います。
加齢黄斑変性についてのよくある質問
放っておいたらどうなりますか。
自然に良くなることはあまりありません。グラフのように徐々に視力が低下していく報告もあります。
日常生活で気をつけることはありますか。
禁煙、偏った食生活 (野菜、果物など抗酸化作用のある食物の不足、”悪玉”と呼ばれる脂肪の過剰摂取)の改善、紫外線の遮断、運動不足、肥満の解消です。 特に喫煙はよくありません。予防としてサプリメントの内服をおすすめします。