近視

近視について

近視の割合は?

生まれてから成人に至るまで眼球は徐々に成長していきます。生まれたときは軽度の遠視ですが、眼軸長(眼の長さ)が長くなっていくにつれて眼の構造上、近視になっていきます。

また、私たち日本人は欧米の諸外国と比べ近視自体の有病率が極めて高いようです。
令和元年度の文科省の学校保健統計調査によると、裸眼視力0.7未満の割合は、幼稚園児7.63%、小学生22.56%、中学生44.74%、高校生56.38%となっています。

近視が進行する原因は?

近視の進行に関して世界中で様々な研究がなされています。アメリカやオーストラリアなどで行われた信頼性があるコホート研究を要約すると

近視の進行は1)遺伝的因子にもっとも影響を受け、2)田舎より都市部の方が早く、3)近業(携帯型ゲーム機やマンガ、勉強など)の程度が強いほど早く、4)戸外活動(外で遊ぶ、スポーツするなど太陽光を浴びる)により発症が抑制され、5)IQや学歴と相関があることが明らかになっています。

例えば、両親共に近視の子供は、両親いずれも近視でない子供に比べ、近視になるリスクが8倍高く、片親のみが近視の子供は、両親いずれも近視でない子供に比べて、近視になるリスクは2倍高いことが明らかになっています。

近視の進行予防は?

様々なことが言われていますが、近視予防効果と眼軸長伸展(眼が大きくなること)抑制効果がはっきりと確認された治療法には1)アトロピン点眼(目薬)等、2)累進屈折力レンズ(メガネ)、3)オルソケラトロジー(特殊なコンタクトレンズ)の3つがあります。

  • 1)アトロピン点眼(目薬)
     望月眼科では、アトロピン点眼を商品化した「マイオピン」という目薬を取り扱っています。詳しくはこちらもご覧ください。
  • 2)累進屈折力レンズ(メガネ)
     近視進行の抑制効果が小さいため、近視予防治療としてはお勧めできません。
  • 3)オルソケラトロジー(特殊なコンタクトレンズ)
     就寝中に特殊なコンタクトレンズを使う治療法です。当院では行っておりません。

では、近視になったらどうすればよいのでしょうか?

近視の進行を抑制することは現時点では不可能だと思います。そのなかでも比較的できそうな事項をまとめてみました。参考にされてはいかがでしょうか。

  • 本やノートと目の間を30cm以上はなす。
  • 鉛筆はHB以上の濃いものを使い、字をあまり小さく書かない。
  • 暗いところで本を読んだり字を書いたりしない。
  • 乗り物の中で本を読んだり、寝転がって本を読んだりしない。
  • 部屋の明かりは、白熱電球なら40~60W、蛍光灯なら15~20W以上が目安です。
  • 机と椅子は自分の体にあった物を使う、姿勢に気をつける。
  • テレビは離れてみる。長時間見ない。見るときは、30分毎くらいに休憩を入れる。
  • ゲーム(特に携帯型ゲーム機)は極力しない。近業が長時間続く可能性高いです。

近視治療について

近視になってしまった場合、どのような矯正方法があるのでしょうか。近視の矯正法としては眼鏡が一般的です。眼鏡は眼に触れることなく近視や乱視を矯正することが出来ますので最も簡便で便利な矯正方法と言えます。成長期(こども)の眼鏡、中年期の眼鏡、中高年の眼鏡は考え方が若干異なります。

次にコンタクトレンズです。現在、国内のコンタクトレンズ装用者は1500万人以上と言われ、かなりの方が使用しています。眼鏡と異なり、眼に直接触れて近視や乱視を矯正しますので、アレルギー性結膜炎やドライアイを起こす方がいらっしゃいます。また、不適切な使用法などで角膜感染症などを引き起こすこともあり、重症化した場合は後遺症が出る可能性もあります。適切なコンタクトレンズの使用を心がけ、定期的に眼科検診を受けることで、合併症を減らし快適に生活することが出来るでしょう。

基本的に当院ではまず眼鏡での矯正をおすすめしており、ご希望される方には合併症のことを理解して頂いた上でコンタクトレンズを処方しております。

矯正法の特徴

眼鏡

長所
簡便、合併症がない
短所
フレームの煩わしさ、強度近視・乱視には像が小さい、歪み、矯正不良など

コンタクトレンズ

長所
簡便、視界良好
短所
ドライアイ、アレルギー、まれな感染症などの合併症

レーシック(自費)

長所
眼鏡から解放される
短所
手術であること、まれな合併症がある、強度近視には適さない、元には戻せない

有水晶体眼内レンズ(ICL)(自費)

長所
眼鏡から解放される、強度近視にはレーシックより見え方が良い、合併症が起きかけたら摘出可、元に戻せる
短所
手術であること、まれな合併症がある、高価

近視についてのよくある質問

どのくらいまで視力が落ちたらメガネが必要ですか?

眼が悪いと感じた時は、早めに眼科を受診しましょう。一般的な近視とそうでない場合と見分ける必要があります。状況に応じて、眼鏡をかけ始める時期も違ってきます。例えば、強い遠視等の場合には、弱視予防のため早いうちから眼鏡をかける必要があります。6歳までが視力の発達に重要な時期と言われていますから、3歳児健診などで引っかかった場合には、早めに眼科を受診しましょう。

一般的な近視の場合は「生活に支障をきたすかどうか」という点を目安にされるとよいでしょう。お友達の顔を見分けられない、といった状況はお子様の育ちの上で好ましくありません。眼を細める等の兆候が見られたらすぐに眼科を受診するようにしましょう。

子どもの視力が低下しています。「仮性近視は治ることもある」と聞いたことがあるのですが、本当ですか?

仮性近視は「偽近視」と呼ばれることもあり、子どもに多くみられる症状です。本当は近視ではないのに、近くの作業を長時間することでピントが近くに合ったままになり、近視のような見え方になっている状態を指すのですが、本当のことはよくわかっていません。調節が上手くできていないために起こる症状なので、「治る」という表現は適切ではないかもしれません。

調節麻痺薬などを点眼して目の筋肉の緊張をほぐすと、本当の近視か、仮性近視かを調べることができます。その結果に応じて、適切な対策をとっていきます。ちなみに「遠くを見たら近視が改善する」ということもよく言われるようですが、これも子どもによって違い、一概に正しいとも間違っているとも言えません。近視が気になりだしたら、民間療法に頼らず、眼科専門医に相談するのがおすすめです。

コンタクトレンズではダメですか?

コンタクトレンズの使用は自己管理ができる中高生頃からがおすすめです。トラブルの際や装用時間短縮のため、眼鏡も必要になります。

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