コンタクトレンズについて
現在、我が国には1500万人を越えるコンタクトレンズ(CL)装用者がいると言われ、10人に1人がCLを装用していると推測されます。
眼に直接レンズを入れるため、眼から離れた距離にある眼鏡のレンズに比べ像の歪みがなく、強度近視や乱視の方にも適しています。その一方で、
コンタクトレンズ障害も急増しており、インターネット販売によるCLの知識不足や、定期検査を受けない方が増えているのが原因として挙げられます。
コンタクトレンズをお考えの方へ
コンタクトレンズ(CL)は下記のように非常に優れた視力矯正手段です。CLをしたいと思う理由はいろいろあるでしょう。眼鏡では見えにくい、眼鏡が煩わしい、オシャレのためなど。適切に使いこなせば問題はないのですが、長時間使用したり、手入れが不十分であったり、適切に使用してもCLが合わない場合などに、合併症を引き起こすこともあります。なるべく合併症を起こさないためにも、眼鏡との併用を是非お勧めします。眼鏡と併用することで、CLの使用時間を減らせますし、充血や痛みを感じたときもすぐに眼鏡に切り替えることでCLの合併症が起きた場合も素早く対応することになります。眼鏡を持っていないとCLを使い続け合併症がひどくなってしまう危険性があります。
上記をご理解された上で、眼鏡をまず作成し、十分に眼鏡に慣れた状態でCLを使われることを強くお勧めします。
コンタクトレンズと眼鏡の比較
コンタクトレンズ
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- 長所
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- 強度近視でも視力が出やすい
- 遠視や乱視による像の歪みや大きさの変化がない
- 視野が広い
- スポーツに適している(ソフトコンタクトレンズ)
- 円錐角膜等の特殊な目にも対応可能
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- 短所
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- 合併症が起こることがある
- 取り扱いに注意し、定期検査が必要
眼鏡
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- 長所
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- 簡便
- 合併症がない
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- 短所
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- 円錐角膜等は視力が出にくい
- フレームが視野を遮る
- スポーツに向かない
通常のコンタクトレンズに加え、技術の進歩により乱視用のソフトCLや、遠近両用CL、円錐角膜用や虹彩つきの特殊なコンタクトレンズも改良されてきました。
また、デザインの改良や素材の改良にともない、眼に傷がつきにくくなったり、ずれにくくなったり、酸素透過性が向上するなどして、コンタクトレンズ障害も従来のものに比べて起きにくくなっております。
しかしながら、コンタクトレンズ(CL)は直接眼にレンズを入れるため、角膜に傷がついたり、結膜炎が起きたり、場合によっては細菌等が感染して重症化してしまうと失明したり後遺症が起きたりすることすらあります。適切にCLを使用し、定期検査を受けることで自分の眼を守っていくことが重要です。
コンタクトレンズの種類:通常のコンタクトレンズ
コンタクトレンズの素材は、大きく分けるとハードレンズとソフトレンズに分類されます。それぞれに特徴があるので、ライフスタイルに合ったコンタクトレンズを選びましょう。 両方を比較した利点・欠点は以下の通りです。
ハードコンタクトレンズ
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- 利点
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- 硬い素材でしっかりしているので、光の屈折を正確に調整することができ乱視の矯正に優れています。また、強度の近視の方にも適しています。
- レンズ径が角膜(黒目)より少し小さく、涙の交換もスムーズに行えるので、角膜へ十分な酸素が供給されます。
- 角膜にキズがついたり異物が入った時は、ゴロゴロしたり痛みを感じるので、早期発見につながり重症化しにくいです。
- 耐久性に優れ寿命が長いので、きちんとケアして長く使えば経済的です。寿命には個人差がありますが約1~3年です。
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- 欠点
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- 硬い素材なので、はじめは異物感や痛みがあり慣れるまでに時間がかかる場合があります。
- レンズ径が小さい為にずれやすく、外れることがあるので激しいスポーツには不向きです。
- 角膜にキズがついたり異物が入った時は、ゴロゴロしたり痛みを感じます。
- 何十年も使用していると、まぶたが下がってくる(眼瞼下垂)ことがあります。
ソフトコンタクトレンズ
従来のソフトコンタクトレンズ(SCL)に加え、使い捨てレンズが主流となっています。1日使い捨てSCL、1、2週間頻回交換SCL、1~3カ月の定期交換SCLなどがあり、1日使い捨てタイプは洗浄・消毒が不要で毎日使い捨てなので、全てのコンタクトレンズの中で合併症の確率が一番低いコンタクトレンズとなっています。
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- 利点
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- やわらかいレンズなので、つけ心地が良く慣れやすいです。
- 角膜より少し大きいレンズで、瞳にフィットするためスポーツ時にも向いています。
- 次世代素材「シリコーンハイドロゲル」を採用しているソフトコンタクトレンズは、従来のソフトコンタクトレンズよりも酸素透過性に優れているので、眼の乾燥が気になる方にはお勧めです。
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- 欠点
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- 眼にキズがついてもやわらかいレンズのために痛みを自覚しにくく、誤った使用法によっては症状が悪化する場合があります。
- やわらかいレンズなので、ハードに比べて乱視の矯正には劣ります。
- 水分を含む特性上、たんぱく質など涙の成分や汚れが付着しやすいので、丁寧なお手入れが必要です。
コンタクトレンズの種類:特殊なコンタクトレンズ
近視・遠視を矯正する一般的なコンタクトだけでなく、乱視用や遠近両用などその方の症状に合わせたコンタクトもあります。
以下の通りです。
乱視用コンタクトレンズ
乱視が強く、通常のソフトコンタクトレンズでは見えにくい方に対して、乱視用のソフトコンタクトレンズがあります(使い捨てタイプもあります)。 ハードコンタクトレンズは、レンズに乱視の度が入っていなくても、ある程度の乱視矯正効果があります。しかし、とても乱視が強い場合は、乱視用ハードコンタクトレンズ(バックトーリック)が有効になる時もあります。
遠近両用コンタクトレンズ
遠近両用眼鏡のように、レンズの中に遠くを見る部分と近くを見る部分があるのが特徴です。ハードレンズとソフトレンズがあります。主に“同時視型”という図のような構成になっており、同心円状に交互に遠方用と近方用の度数が入っています。
「遠方に合わせた通常のコンタクトレンズでは手元が見づらいけれど、眼鏡はかけたくない、眼鏡をかけるのが困難」という方が対象となります。
「遠近両用までは必要ないけれど少しだけ手元を見るのが疲れる」という方に対してのコンタクトレンズもあります。
円錐角膜用コンタクトレンズ
円錐角膜とは、角膜が薄くなり前方へ円錐状に突出してくる進行性の疾患です。明確な原因は分かっていません。乱視が強く、眼鏡矯正では視力が十分に出ません。 初期であれば、ほとんどの場合が通常のハードコンタクトレンズでも矯正できますが、症状が進行するとレンズの装用が困難になってきます。
このような方に適しているのが円錐角膜用のコンタクトレンズです。 その方の乱視の程度や症状に合わせたコンタクトを作成します。
虹彩付きコンタクトレンズ
虹彩(黒目を囲んでいる茶目の部分)が欠損した方や、角膜疾患で白く濁ってしまった方に適応となります。人工的な虹彩付きのレンズを装用することで眩しさを軽減できる可能性があります。虹彩に加えて瞳孔付のものもあります。
コンタクトレンズ障害 コンタクトレンズケアの重要性について
こんなことしていませんか?
- コンタクトをつけたまま寝る
- 交換期限の過ぎたレンズを使っている
- 水道水でレンズを洗う
- 装用時間が長すぎる
- こすり洗いを怠っている
- 保存液を継ぎ足して使っている
- 汚れや化粧品の付いた手でレンズに触る
このような状態でコンタクトレンズを装用していると、症状がなくても以下のような重大な眼のトラブルを引き起こす可能性があります。
角膜上皮障害
角膜表面の障害の総称です。酸素不足や汚れたレンズを使い続けたり、レンズをつけたまま眠ってしまったりと原因は様々ですが、それによって角膜上皮がはがれたり、傷がついた状態です。放置すると病状が進むことがあります。
細菌性角膜潰瘍
角膜の傷や、体の抵抗力が低下して病原微生物に感染しておこる角膜の病気です。間違ったコンタクトの使い方でも角膜の抵抗力が弱まり、角膜表面の傷から細菌感染を起こすことがあります。発見・治療が遅れると潰瘍が進行し後遺症が残ったりすることがある病気です。
巨大乳頭性結膜炎
コンタクトレンズのアレルギー反応で上まぶたの裏が凸凹になる病気です。こうなるとコンタクトレンズの使用を中止して、ステロイド剤や免疫抑制剤の点眼を使用し治療しますが、重症例は数カ月かかることもあります。
アカントアメーバ角膜炎
コンタクトレンズに付着したアメーバが、傷ついた角膜に寄生して起こる角膜感染症です。感染したら治療がとても困難な病気で、発症した人のほとんどがコンタクトレンズ、特にソフトレンズ使用者であり、誤った使用法が原因である場合がほとんどです。
角膜内皮障害
角膜内皮とは黒目の中にある細胞で、一度障害を受けると二度と再生されません。コンタクトレンズを長時間装用すると目の表面がずっと覆われている事になるので、角膜に酸素(栄養)が届きにくくなり、角膜内皮が徐々に障害されていきます。
正常値は、成人で約2000~3000の細胞密度(cell/mm2)ですが、不適切な使用を続けていると徐々に数が減っていきます。減少して500位になってしまうと角膜が白く濁ってきますので注意が必要です。
合併症を防ぐには
重大なトラブルを防ぐためには
- レンズの付け外しは必ず石鹸で手を洗ってから行ってください。手のひらや指についた化粧品はなかなか石鹸では落ちないため、女性の方はメイク前にレンズを装用してください。
- レンズをつけたまま寝ないようにしましょう。
- 1日の装用時間は長くても12時間程度とし、これを超えないようにしましょう。
- 毎日きちんとケアを行いましょう。
- 定期的な検査・診察を受けましょう。
レンズケアの仕方について
ハードコンタクトもソフトコンタクトも最近は、ボトル1本でケア(洗浄・すすぎ・消毒・保存)ができる用品でのお手入れが主流です。ケアの方法は以下の通りです。詳しくはケア用品の説明書をご覧ください。
- 洗浄
- 「こすり洗い不要」と書いてあっても、必ずこすり洗いをしてください! こすり洗いをしなければ洗浄効果はありません。必ず専用の液で最低30秒はこすり洗いをしてください。
- すすぎ
- こすり洗いをしたら、レンズの両側をよくすすいでください。
- 消毒と保存
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レンズケースに専用の液を満たし、レンズが完全に浸るように入れ、しっかりとふたをします。ケア用品ごとに決められた時間放置すると消毒は完了です。
- ※ソフトコンタクトの方は絶対に水道水は使用しないでください。専用の液を使用ください。
- ※使用後のレンズケースの液は毎日交換しましょう。
- ※日中、ケースを使用しない間は、清潔なタオルの上などに伏せて自然乾燥させてください。
- ※清潔にお使いいただくために、レンズケースも定期的(約3カ月)に交換してください。
コンタクトレンズは高度管理医療機器であり、使用の際は必ず眼科医の検査・処方を受けることになっています。大切な眼を健康に保つためにも、定期的な検査と診察を受け、眼科医の指示を守って正しい取り扱いを心がけましょう。
検査から処方までの流れ
初めてコンタクトを作られる方、定期検査を受けられる方は、まず眼科受付へお越しください。
問診後、視力検査やコンタクトレンズを装用しての度数調整を行います。また診察室にて、目に異常がないかを確認します。検査データにも目の状態にも問題がなければ、コンタクトレンズ処方となります。
初めてコンタクトを使用される方は、レンズの付けかた・外しかたをスタッフが分かりやすく丁寧に指導いたします。
併設のコンタクト店では、安心してご購入いただけるように、ほぼ全てのレンズが購入前に1~2週間(種類によって異なります)、無料でお試しが可能です。見え方はもちろん、つけ心地も確認・納得してからご購入いただけます。
眼鏡
私たちの眼の屈折(近視・遠視・乱視)は年齢によって変化します。生まれたときは軽度の遠視ですが、成長と共に眼球が長くなって近視化していきます。令和元年度の文科省の学校保健統計調査によると、 裸眼視力0.7未満の割合は、幼稚園児7.63%、小学生22.56%、中学生44.74%、高校生56.38%となっています。
また、40歳を過ぎた頃からピントを合わせる力が落ちてきて、近くがぼやける、近くを見た後に遠くを見るとぼやけて見える、眼が疲れやすいなどのいわゆる「老眼」の症状が出始める方もいらっしゃいます。症状が強くなってきたときは老眼鏡がよいでしょう。老眼は徐々に進行していきますので、眼の症状にあった老眼鏡に作り替えていく必要があります。 このように視力というのは生まれてから一生涯、変化していきますので、その時その時にあった眼鏡を用いることで快適な生活を送ることが出来ます。
簡便で合併症もない眼鏡ですが、欠点もあります。眼鏡のフレームの煩わしさ、スポーツするときの不便さ、近視が強い方や乱視が強い方などは視力が出にくい、像が小さく見える、歪んで見えるなどがあります。 老眼がではじめた方で遠近両用眼鏡をかけられる場合も、遠くの像と近くの像の境目が歪んで見えたりしますので、使いこなすには少々慣れが必要です。
眼鏡処方について
通常の眼鏡を作られる場合は、眼鏡店で直接作製されて全く構いません。眼鏡店で眼鏡を作製したが調子が悪い方、眼の病気があるために視力がでにくい方、初めて眼鏡を作るため眼科で処方箋を書いてもらった方が安心という方、特殊レンズが必要な方、などが眼科での処方箋を希望される場合が多いようです。
通常の眼鏡店で作るのと違う点は、特殊な点眼薬を用いて本来の屈折はどのくらいか、両眼でものを見る力がどのくらいあるか、眼を動かす筋肉のバランスはどうか、などを考慮の上眼鏡の処方を行うことです。冒頭で述べましたように、通常の眼鏡を作られる場合は、眼鏡店で直接作製されて全く構いません。
成長期の眼鏡について (こどもの眼鏡)
就学前の斜視弱視の患者さんを除けば、通常就学時検診のときに視力低下を指摘されて眼科を受診されるお子さんが多いようです。視力低下により日常生活に不自由を来しているお子さんは、基本的に調節麻痺薬を点眼し、本当に近視かどうかの検査を行います。本当の近視であれば、日常生活に支障を来していれば眼鏡を勧めます。眼鏡は常にかける必要はなく、例えば授業中黒板の字が見えにくいとき、体育の授業中に遠くのお友達の顔が見えにくいとき、夕方や雨の日に見えにくいときなどに眼鏡をかけるとよいでしょう。例えば授業中などに黒板の字が見えにくいと授業内容に集中できませんし、夕方や雨の日などは危険を伴います。特に女の子などは眼鏡に対して抵抗ある保護者の方も多いかも知れませんが、見えにくい状態を放置することで集中力が欠ける場合もあります。見かけのことも大事ですが、お子さんとよく話し合って眼鏡をかけるかどうかを相談することが大事だと思います。
また、初めて作る眼鏡に関してはやや軽めがよいでしょう。バッチリ見える眼鏡を初めてかける場合、見えすぎて気分が悪くなるお子さんもいます。まずは、ご自身にあった眼鏡を作り、「もっと見えた方が良い」と慣れてきた段階で度数を上げるとよいでしょう。眼鏡作製時は無料で度数を変えられる保証期間もあるので、保証期間内に再検することを勧めています。一般的には20歳くらいまでは近視は進んでいきますので、数年に一度眼鏡の度数を変える必要がある場合が多いです。
また、保護者の中には、眼鏡をかけると近視が進むのでは、と考えられる方が多いようです。これは例えば、6歳で1.0だった子供が8歳で0.5となり眼鏡を作ったとします。10歳になって視力が0.3になったら、眼鏡をかけたから視力が0.5から0.3に下がった、と考えてしまい眼鏡のせいだと思うのです。しかし、この子は近視が6歳から進んできており眼鏡をかけなかったとしても近視は進んでいく可能性が高いのです。
近視の度数が強すぎる眼鏡をかけたり、ゲームを長時間したりなどの生活を長くすることで本来の近視の進行をより強めてしまう可能性はあるので、強すぎない適切な眼鏡をかけることや、生活に注意しながら過ごすことも大切です。しかしながら、どんなに気をつけても成長に伴う近視の進行を防ぐことは不可能です。
中年期の眼鏡について(老眼)
40歳を過ぎてくると近くが見えにくい、眼が疲れる、長時間近くを見た後に遠くを見るとボーッとして見えにくい、という症状が現れることがあります。これはピント調節機能が老化と共に衰えていくために、近くを見るときに水晶体が厚くなりにくいのが原因ですし、近くを見た後に遠くを見たときにもピントが合わないのは水晶体が薄くなりにくいのが原因であります。あまり不自由を感じないときはそのまま様子を見て頂いてよいと思いますが、見えにくいので目が疲れてきたり、頭痛が出たり肩こりがひどくなってきたりという症状が出るようであれば老眼鏡を検討されるとよいと思います。また、老眼鏡を使い始めると老眼鏡なしでは近くが見えにくくなったというのはよくある症状です。老眼鏡で楽に見ることになれますと老眼鏡なしではピント合わせが困難になってしまうためです。
では、眼鏡を作るときに老眼鏡だけがよいのか、かけっぱなしで遠くも近くも見える遠近両用レンズがよいのか、ということになります。眼鏡を使いこなすことが出来れば、かけっぱなしで遠くも近くも楽に見える遠近両用の眼鏡がよいと思いますが、うまく使いこなせない場合はものがゆがんで見えたり眼鏡をかけてもよく見えないということになるので単焦点レンズ(通常のレンズ)がよいでしょう。また、長時間本を読んだり、長時間運転をしたりという場合は、近く用や遠く用の単焦点レンズが楽に見ることが出来るのでこちらをお勧めしています。
また、遠近両用の眼鏡を作成する場合にはレンズ面が大きい方が楽に見えます。最近の若い方がかけている細長い眼鏡では、その細いレンズの中を遠く用と近く用を分けますのでそこの部分で見ないといけないので疲れや見えにくさの原因となります。 老眼鏡をかけ始めた後も年々眼の老化は進行していきますので、数年ごとに老眼鏡の度数は強めていかないといけない場合が多いです。
中高年の眼鏡について(白内障)
60歳を越えてくるとほとんどピント調節機能が失われてきます。大体のかたは自分にあった眼鏡というのが決まってきています。通常のレンズで遠く用、近く用、中間用を持っていらっしゃる方もいれば、遠近両用レンズを使いこなしていらっしゃる方もいます。微調整をしながら様子を見て頂きますが、眼鏡をかけてもはっきり見えなくなってくる方もいらっしゃいます。
眼鏡をかけても見え方が悪くなってきた場合は眼科での精査をお勧めします。何かの病気が隠れている場合があるからです。最も多いのは白内障によりかすみが出てきたり視力が落ちてくる場合です。気にならない程度であればこのまま様子を見られて構いませんが、日常生活で不自由を来すようであれば白内障手術を検討するのも一つの方法です。
白内障手術は、単に濁りを取り除くだけでなく近視や遠視、乱視を治すことが出来ます。特殊なレンズ(多焦点眼内レンズ)を使えば遠くから近くまで眼鏡なしで見えるようになります。白内障手術はしないといけないものではありませんが、生活の質が改善し喜ばれることも多いのも事実です。
眼鏡の種類について
単焦点と多焦点について
- 単焦点レンズ
- 遠視や近視・乱視など、どの視力補正に対しても効果的なレンズです。度数は1つだけですが、それぞれの視野を広範囲でカバーします。
- 多焦点レンズ
- 掛け替えすることなく1つの眼鏡で遠くと近くを見ることができるレンズです。多焦点レンズは一般的に“遠近両用”が主ですが、それ以外にも室内用の”中近”や“近近”の眼鏡もあります。
単焦点レンズ
- 遠用眼鏡
- 遠くがよく見える眼鏡で運転などに適しています。老眼が始まっている方では、この眼鏡をかけたままだと近くが見えにくくなります。
- 近用眼鏡
- 近くがよく見える眼鏡で、本や縫い物など近くを見るときに適しています。この眼鏡では遠くは見えません。老眼鏡とも言われます。
多焦点レンズ
遠近両用眼鏡
1つの眼鏡の中に遠く(上方)と近く(下方)がよく見える部分が入っており、掛け替えすることなく1つの眼鏡で遠くと近くを見ることができるレンズになっています。遠近両用を初めて使う方は、慣れて使いこなせるまでに時間がかかります。また長時間の読書などには近方専用の眼鏡が適しています。遠近両用眼鏡は”累進多焦点”と”二重焦点”の2種類に分けられます。
- 累進多焦点
- 遠方近方の境目の線が入っていないため、見た目は遠近両用とは分かりません。遠近だけではなく遠方から近方へ移行する部分に中間距離用の度数も入っています。しかし、中間部と近用部(下方)の見える範囲については、二重焦点レンズに比べてかなり狭く、慣れるまでに時間がかかります。
- 二重焦点
- 1枚のレンズの中で、遠方と近方の境目がくっきりと分かれています。
中近両用眼鏡
遠近両用に比べ、手元から2mくらいの中間距離までを広い視野でみることが可能な眼鏡です。新聞を見ながらTVを見る、あるいは仕事でパソコンをしながらすぐ近くの人と話すなど室内用のレンズになります。
近近両用眼鏡
遠近両用・中近両用に比べ、手元から60cmくらいまでの範囲を広い視野でみることが可能な眼鏡です。手元の書類とパソコンの画面を交互に見るなど日常のデスクワークで一番必要な範囲をカバーし、ストレスのない視界が得られます。
各眼鏡で明視できる範囲の目安
特殊レンズ
- プリズム眼鏡
- 斜視の方に用いる特殊な眼鏡です。眼鏡にプリズムを入れることで光を屈折させ、両方の眼で同じ視標が見えるようにする方法です。斜視自体が治るわけではありませんが、プリズムの使用により、両眼視を確保しやすい状況を作ります。また、斜視による複視(両眼でみると物が2つに見えてしまう状態)を軽減する事が出来ます。特に大人での眼筋麻痺などによる斜視では角度が小さくても複視の症状が強く、生活が不自由なことが多いですからプリズム治療が非常に効果的なことがあります。
- 遮光眼鏡
- まぶしさの原因となる紫外線と青色光線をカットし、それ以外の光を出来るだけ多く通すよう作られたレンズです。まぶしさの原因となる光のみカットすることで、まぶしさで白くモヤがかかっているように見える状態を改善し、明るさを保ちつつ、物の輪郭をくっきりさせてコントラストを高めます。
- 偏光眼鏡
- 魚釣りやスキーの時などの周囲から反射光によるギラツキをカットします。通常のサングラスは光の量を減らすだけですが、偏光レンズは反射光や有害な紫外線を選択的に軽減します。
- 調光眼鏡
- 紫外線の量によって色が変わるレンズです。紫外線の強い屋外などでは色が濃くなり、紫外線の弱い室内などでは薄くなります。1つの眼鏡を普段用とサングラス用に兼用可能ですが、色が濃くなる時に比べると、薄くなる時は時間がかかるので注意が必要です。
レンズのオプション加工について
- カラー
- プラスチックレンズはカラー指定が出来ます。お好みで選択が可能です。
- マルチコート
- 反射防止コートをすることにより反射しなくなり、表から見た時もすっきり見えます。
- 防汚コート
- 汚れがつきにくく、ふき取りやすいためお手入れも簡単です。
- 耐擦傷コート
- すり傷に強く、耐久性に優れています。
- 紫外線(UV)カット
- 有害な紫外線をカットします。
レンズの素材と設計について
レンズの素材は大きくプラスチックレンズとガラスレンズの2つに分けられます。それぞれの長所と短所は以下の通りです。
プラスチックレンズの長所と短所
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- 長所
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- 軽い(ガラスレンズの約1/2の軽さ)
- 割れにくい
- カラー染色が豊富
- ふちなしやナイロール枠の対応が可能
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- 短所
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- 傷や熱に弱い
- 厚くなることがある
ガラスレンズの長所と短所
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- 長所
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- 傷や熱に強い
- 透明度が高い(にじみが少ない)
- 耐久性に優れている
- 強度近視の場合、最高の薄さが可能
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- 短所
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- 重く割れやすい
- 染色・加工・フレームに制限がある
- 設計・種類が少ない
また、レンズの設計については、現在は非球面レンズが主流となっています。片面または両面を意図的に非球面で設計したレンズです。球面レンズより薄く仕上げることができるほか、像の歪みを抑えることができ、掛けた時の見やすさ、軽さ、外観的な美しさなど総合的に評価しても優れたレンズです。
同じ度数での見え方の比較
検査から処方までの流れ
まず、検査室にて眼の度数(遠視・近視・乱視)がどの程度あるかを詳しく調べます。 処方する眼鏡は使用目的(距離)によって度数が異なってきますので、検査員にご相談ください。眼鏡の度数が決定すると装用練習を15分程度行い、その度数で疲れがないか、頭が痛くならないかなどを確認します。問題がなければ、診察にて医師が最終判断を行い、処方箋を会計時にお渡し致します。当院では眼科隣に併設している店でも眼鏡を作成することができます。他の眼鏡店で購入をご希望の場合は、お渡しする処方箋をその眼鏡店へお持ちください。
眼鏡をお持ちの方へ~こんなことしていませんか?~
- レンズをタオル・ハンカチ・Tシャツなどで拭いていませんか?
- レンズを下に向けたまま置いていませんか?
- 眼鏡を使用しない時にケースに収めないで、そのままにしていませんか?
これらはレンズに傷がつく原因となります。
眼鏡を拭く時は専用布を使い、ホコリがついている場合はホコリをはらってからやさしく拭きましょう。
- 眼鏡・サングラスを車の中に置きっぱなしにしていませんか?
- 眼鏡をしたままサウナや温泉に入っていませんか?
これらはレンズの変形・変色の原因となり見えづらさも出てきますので、できるだけ避けた方がよいでしょう。
- 眼鏡が汗・水・雨に濡れた時、そのまま自然乾燥させていませんか?
水洗いをして水分は十分に拭き取ってください。
拭き残しはシミの原因となりますので、中性洗剤を薄めた液で洗い、水ですすぎ十分に拭き取ってください。
コンタクトレンズについてのよくある質問
何歳くらいからコンタクトレンズは可能ですか?
コンタクトレンズの使用は、自己管理できる中高生頃からがおすすめです。トラブルの際や装用時間短縮のため、眼鏡も必要になります。医師と相談し、上手に使っていきましょう。
眼鏡を持っていませんが、コンタクトレンズ作製は可能ですか?
コンタクトレンズ(CL)作製時に、眼鏡を持っているというのが前提です。 眼鏡なしでCLを作製してしまうと、CLを朝起きて装用し寝る直前まで外しません。そうなると装用時間が15時間以上の長時間装用になってしまいます。
長時間装用になればCL障害の確率も増してしまいます。もしCL障害が起こった場合、CLを中止して治療を行います。その際に眼鏡がないと見えないので無理してCLを装用し続けることになり、合併症が治りにくいどころかより悪くなりかねません。上記理由で、コンタクトレンズ(CL)を作製されるときは眼鏡の有無を確認させて頂きます。
1日何時間くらいコンタクトレンズは装用して良いですか?
個々の環境によって異なりますが、帰宅したら眼鏡にする、不必要なときは眼鏡で過ごす等を心がけ、コンタクトと眼鏡の併用がよいでしょう。
コンタクトレンズにはいろいろあるようですが、どのコンタクトレンズがいいですか?
「通常のコンタクトレンズ」にあるように大きくハードコンタクトレンズとソフトコンタクトレンズに分けられます。近視や乱視の度数、スポーツをするかどうか、アレルギーやドライアイがあるかどうか、ケアをきちんと出来るかどうか、など様々なことを考慮して選ぶ必要があり、一概には言えないところです。
ハードコンタクトレンズを20年ほど使用していますが、最近まぶたが下がってきています。治りますか?
ハードコンタクトレンズを何十年もしていると、眼瞼下垂といってまぶたが下がってくることがあります。早期であればハードコンタクトレンズをソフトコンタクトレンズに変えたり、眼鏡に変えたりすることで改善することがあります。 放置すると治らなくなることがあり、そうなると治療としては手術となります。
眼鏡についてのよくある質問
8歳のこどもですが眼鏡をかけ始めたらどんどん眼が悪くなってしまいました。
眼鏡をかけなければよかったと後悔しています。
よくある保護者の方の意見です。上記のように例えば、6歳で1.0だった子供が8歳で0.5となりメガネを作ったとします。10歳になって視力が0.3になったら、眼鏡をかけたから視力が0.5から0.3に下がった、と考えてしまいメガネのせいだと思うのです。しかし、この子は近視が6歳から進んできておりメガネをかけなかったとしても近視は進んでいく可能性が高いのです。眼鏡によって近視を止めることは出来ません。そのこの眼にあった眼鏡を作成し、合わなくなったら1、2年ごとに眼鏡の度数調整を行っていく必要があります。